障害がある人が狙われやすい?
「あれ、おかしいな」と思っても、誰にも相談できず、気づけば大きなトラブルに――。
障害のある人が巻き込まれた消費者トラブルの事例を集めた消費者庁の報告書には、驚くようなケースがたくさん掲載されています。
多くのケースは、私たちの日常でも起こりうるような話ばかりでした。
実際に私のところに相談に来られる方の中にも、過去に騙されて大金を払ったり、継続できないような過大な保険に加入していたり、高額商品の定期自動購入をしてしまったり、といったトラブルを経験したことがある方も少なくありません。
この記事では、消費者庁の報告書の事例をいくつかご紹介しながら、なぜトラブルが起こりやすいのか、その背景と対策について考えていきます。
◆ なぜトラブルに巻き込まれやすいか
障害のある方がトラブルに巻き込まれやすい理由には、以下のような特性があります。
- 断ることが苦手、「悪いな」と思って受け入れてしまう
- 相手の言葉を素直に信じてしまう
- その場で判断せず「後でなんとかしよう」と放置してしまう
- 経験から学ぶ力が弱く、似たようなトラブルを繰り返してしまう
- 違和感を気付く力が弱く、思い込みでサービスを継続してしまう
こうした「善良さ」や「経験不足」が、悪意のある業者にとって狙いやすい相手になってしまうのです。
断れない障害者の方をターゲットにしたマッチングアプリ詐欺も最近ニュースになっていました。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025051500592&g=soc
◆ 実際にあった事例①:SNSで簡単にもうかる?→60万円の被害
ある発達障がいのある青年がSNSで「簡単にお金が稼げる」と声をかけられ、健康食品の購入をきっかけに販売マニュアル代などとして60万円を支払ってしまいました。発覚したのは、お母さんが持ち物を見て不審に思ったから。本人は「誰にも言うな」と言われていたのです。
◆ 実際にあった事例②:占いにハマって貴金属を売って支払い
精神障がいのある女性がネット占いにのめり込み、数万円単位の請求が次々に。しまいには貴金属を売って支払い、グループホームの職員にバレるまで続いていました。「しゃべると効果がなくなる」と言われていたため、周囲にも言えずにいたのでした。
◆ トラブルを防ぐためにできること
1. 日常の中に「相談できる習慣」を
「おかしいと思ったら誰かに相談」――これが当たり前の行動になるようにするには、普段から「困ったことがあったら教えてね」と声かけしておくことが大切です。
2. 一人で契約しないルールづくり
高額な契約やネットでのやりとりは、「一人でやらない」ことをルールに。
支援者や家族と事前に「こういうときは誰に相談するか」を決めておくと安心です。
干渉しすぎからし?と思う親御さんや支援者の方もいるかもしれませんが、当事者のトラブルを防ぐことができるのは、家族か支援者です。
3. 防犯ツールやフィルターの活用
そもそも詐欺とのきっかけに出会わないように、事前に対策しておくことも大切です。
例えば、
- スマホのフィルター設定で「知らない番号からの着信を拒否」
- フィッシングメールを自動ではじくメール設定
- 音声通話録音などの通話アプリの活用
など、のツールを導入しておくことで予防します。
4. 消費者教育は子どものうちから
大人になってから学ぶのでは遅いです。
子供のうちから契約やお金の教育を実施することが大切です。
学校に任せっぱなしにせず、家庭内でやっておきましょう。
5. 「188(いやや!)」で覚えよう
消費生活センターの全国共通番号「188」。
少しでも困ったら、まずここに電話。
本人だけでなく、家族や支援者が電話してもOKです。
当事者本人が家族にいえないこともあるので、当事者本人にもこの番号を教えておきましょう。
◆ 最後に
障がいのある人のトラブルは、「その人自身が原因」だけではありません。
支援の手が届かなかったこと、社会の仕組みが合っていなかったこと、教育が届いていなかったことも大きな原因の1つです。
だからこそ、本人に「だまされた自分が悪い」と思わせるのではなく、「困ったら声をあげていい」「それに応える人がいる」社会にしていく必要があります。
親がお金のことをしっかり学んで、子供に教えられるようにしておくことが大切です。
ちょっとした声かけや見守りが、あなたの大切な人を守るきっかけになるかもしれません。他人事にせずに、事例から学ぶきっかけになればと思い、シェアしました。
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