ここ最近、障害年金に関するネガティブなニュースが増えています。
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特に、精神や発達障害の人の不支給が増加しているというニュースは非常にショッキングでした。
「ダメもとで申請している人が増えた」と捉える声もありますが、当事者にとっては自分事として不安に感じている方も非常に多いです。
今回は、FPが考える生活設計における障害年金の重要性について書いてみようと思います。
ファイナンシャルプランナー(FP)として日々多くのご相談を受けるなかで、「障害年金がもらえるかどうか」は、人生全体のプランニングにおいて非常に大きな分岐点になると痛感しています。
障害年金は、受給できるかどうかで生活の安定度が大きく変わる「命のインフラ」にも近いものです。
もらえるかどうかで、人生が変わる
障害年金は、病気や障害で働くことが難しくなった方が、生活の基盤を失わずにすむように設けられた制度です。たとえば、障害基礎年金2級の場合、年額83万1700円(月額換算で約6.9万円)。子どもがいる場合は加算もあります。
金額だけ見れば「月約6.9万円か」と感じる方もいるかもしれませんが、働けない状態での毎月6.9万円の支給は、実は非常に大きな価値を持ちます。
たとえば、20代で申請が通れば、40年以上にわたって受給する可能性もあります。
生涯での総受給額は数千万円にもなり、住宅確保、親亡き後の生活、老後の資金計画など、あらゆる側面で「安心の基礎」になるのです。
反対に、この年金が受給できない場合、生活保護の対象にもなりにくいグレーゾーンで苦しむ方も少なくありません。
ライフプラン設計では「障害年金をどう見積もるか」がカギになる
FPとしてライフプランを作る際、重要なのは「何を見積もってよいのか」という判断です。障害年金は、受給が確定していれば収入として織り込むことができます。しかし、申請をためらっている状態では将来のプランに反映させづらいのが現実です。
結果として、「本来受け取れるかもしれないお金」をプランに反映できず、生活保護や援助に依存したプランになることもあります。
逆に、「障害年金を正当に受け取りながら、働ける範囲で就労を続ける」など、複数の収入源を組み合わせた「現実的な生活設計」ができると、人生の選択肢は一気に広がります。
実際、障害年金を申請して受給が決まったことで「先が見えるようになった」「やっと未来のことを考えられるようになった」と安心して面談中に涙を流す方もいます。
それほど、この年金の有無は心理的にも大きな意味を持つのです。
ライフプランを描ける状態に持っていくことが第一歩
FPの役割は、単に保険や投資を勧めることではありません。
本当に大切なのは、「その人が人生を描ける状態」にすることだと思っています。
障害年金は、そのための「足場」です。
足場が不安定なままでは、いくら上に立派な家を描こうとしても、成り立ちません。
だから私は、ライフプランを作るときに、「障害年金を受け取る可能性があるか」「今申請できる条件が整っているか」も必ず確認します。
必要があれば、支援者や専門家と連携して申請の後押しをすることもあります。
それだけ大切なお金だからこそ、公平な審査を
障害年金は、たんに「あると助かるお金」ではありません。
「生活を成り立たせるための根幹」であり、「人生を組み立て直すための基盤」です。
だからこそ、その受給可否を左右する審査が、もっと公平で、透明で、納得感のあるものでなければならないと、私は強く感じています。
しかし現実には、医師の診断書の書き方や審査官やトップによって変わる(記事が正しければ)。
会ったこともない審査官が、記載内容の解釈によって支給・不支給を判断します。
つまり、「誰が、どう書いたか、どう感じたか」によって人生が左右されてしまうのです。
医師にとっても、障害年金用の診断書は通常の医療文書とは性質が異なり負担が大きいと聞きます。
それは本来医師が負うべき負担ではないはずです。
医学的な見地に加えて、制度的な文脈も読まなければならない状況に、負担があるという話も聞きます。
これは実際の知人の話ですが、負担になるからなのか、医師に診断書を依頼してから書類が返ってくるのに3か月以上かかったそうです。
しかも実際の状況よりも日常生活に問題がないように書かれていたそうでした。
その知人は15年以上病院にかかっている方だったので、医師が治ってないと書きにくかったのではないか、と邪推してしましまた。
制度が「人の主観」や「言葉の選び方」に過度に依存していることが原因の1つだと思います。
精神や発達障害での診断は目に見えないので、難しいところなのは十も承知です。しかし命を支えるお金が、あいまいな基準で左右されることについては、非常に疑問です。
私は、これからの障害年金制度において、AIによる補助的な定量評価と、審査のガイドライン明確化が必要だと考えています。
XにてAIも恣意的になるんじゃないかという声もありましたが、人が審査するよりはフラットであるはずです。
制度を厳格にすることで「不正受給を防ぐ」というのは一見もっともに聞こえます。
でも今、本当に起きているのは「本当に必要な人がもらえていない」現実です。
それだけ大切なお金だからこそ、制度の厳格さではなく、公平さと柔軟さを追求する必要があると私は考えています。
FP的にみると、障害年金がもらえるかどうかは本当に大きいんです。
人生が大きく変わるんです。
本当に困っている人に障害年金が行き渡る社会になれば「どんな状態にあっても、安心して生きていける社会」になるはずです。
一当事者として、一支援者として、必要な人に行き渡ることを願っています。
※もらい方をハックして、なくても生活していけるにも関わらず障害年金を受け取っていることを自慢するようなXの投稿を見たことがあります。一時の注目を得たいがために、全体の利益を押し下げるような言動は言語道断であるという立場であることは、お伝えしておきます。