『障害年金を受け取ってしまうと、老後の年金は減ってしまうのでは?』
結論から言うと、
障害基礎年金を一生受給できれば、老後の年金が減ることはありません。
しかし、障害基礎年金が更新できなかった場合は別です。
老後に受け取る年金の種類が「障害基礎年金」から「老齢基礎年金」になったときは、老後の年金が減る可能性があります。
障害年金を受け取ると年金が減る可能性がある理由と、
年金を減らさないための方法を解説します。
老齢基礎年金の仕組み
老齢基礎年金の金額は以下のようにして決まります。
『20歳から60歳までのあいだの40年間(480ヶ月)のうち、どけだけ年金を納めたか』
老齢基礎年金を満額で受け取るためには、20歳から60歳までの480ヶ月年金を納めている必要があります。
老齢基礎年金の受給額は、以下の式で計算されます。
老齢基礎年金満額×年金を収めた月数/480ヶ月
なお、2022年における老齢基礎年金の満額は777,792円です。
(会社員や公務員の人、国民年金基金や付加年金に加入している人はこの金額に、それぞれ老齢厚生年金などが上乗せされます。)
仮に法定免除期間が20年間あると、未納期間はその半分の10年分になります。
未納期間が10年分の時の年金は以下の式で求めることができます。
777,792円×360ヶ月/480ヶ月=583,344円
未納期間1年につき年金は満額から19,494円減ります。
障害年金を受給すると、老齢基礎年金が減る理由
障害基礎年金の受給中は、国民年金の支払いが免除されます。
これを「法定免除」と言います。
法定免除を受けている期間の年金は、2分の1だけ年金が納められている状態になります。
残りの2分の1は、未納の扱いです。
例えば障害基礎年金を2年間受け取って2年分の法定免除を受けると、1年分は年金の未納が発生していることになります。
障害基礎年金の受給に伴い法定免除を受けた方が障害基礎年金を更新できなかった場合、何もしないと老齢基礎年金(老後の年金)が減ってしまいます。
老齢基礎年金を減らさないための2つの対策
対策1:法定免除を受けずに年金を納付し続ける
2014年の改正に伴い、障害基礎年金を受給しながら法定免除を受けない選択をすることが出来るようになりました。
法定免除を受けずに年金を納め続けるため、手元から現金は出ていきます。
障害基礎年金が打ち切られて老齢基礎年金になった時でも、年金を減らさないための準備になります。
対策2:追納する
年金の未納があったとしても、過去10年分はさかのぼって年金を追納することが出来ます。
追納した年に年末調整や確定申告を行うと、社会保険料控除を使うことができ、節税することが出来ます。
まとめ
発達障害や精神疾患から受け取れる障害基礎年金は、身体障害から受け取れる障害基礎年金と違って更新制です。
更新が出来ずに障害基礎年金が打ち切りになった場合は、老後の生活費は老齢基礎年金や老齢厚生年金が頼りになります。
障害年金が打ち切られた場合に、
①最低限の収入をどれぐらいで設定しているか
②日々の支出をどれぐらいに抑えておくか
③将来の出費はどんなことがあるか
など、事前にシミュレーションしていることが大切です。
将来の目途を立てておくと、年金の準備もしやくなります。
使える制度を活用した上で、将来に向けて対策してくことが非常に大切です。