発達障害はセールと相性最悪
「セールって、なぜあんなに買わなきゃという気持ちにさせるんだろう?」
その買わなきゃという気持ち、錯覚です。
最初に書きますが発達障害とセールは相性最悪です。
この時期になると、夏物のセールが始まります。
しかもボーナス時期。
発達障害の私たちにとっては、ドーパミンが暴走しやすい「年に一度の誘惑フェス」です。いや正確には「年に一度と思い込んでしまう」と言った方が正しいかもしれませんね。
山崎まさよしばりに、いつでも欲しいものを探してしまう私たちにとっては。
特に私が趣味にしている服はこの7月も中旬になると次のシーズン(25aw)のデリバリーが始まるので、この時期はセールの魔力に耐えるのが大変です。
私自身が趣味にしている服も、ちょうどこの時期にセールがかかります。
7月中旬には次シーズン(25AW)のデリバリーへ切り替わるため、夏物は今の時期に売り切るんですね。
毎年この時期になると、毎日「買う? いや待て!」の自問自答を繰り返しています。
さてこの記事では、
① セールでつい買ってしまう仕組み
② そもそもセールが存在する企業側のロジック
③ 「結局欲しくない物を買った…」と後悔する理由
④ 衝動買いを防ぐ具体策
⑤ セールを上手に活用するコツ
を順に解説します。読み終わる頃には「値段が理由なら買わない」マインドが、あなたの中で育っていることを願っています。
① セールで買ってしまう仕組み
セールで買ってしまう仕組みは、前回の記事で解説した「行動経済学」が非常に大きく関連しています。
再度確認してみましょう。
- 損失回避バイアス
人は「得をすること」より「損をしないこと」に敏感です。
例えば、50オフという数字を見ると「今買わないと損だ」という恐怖が脳を支配します。
50%オフの商品の必要度性よりも割引されたものが買えなかった損失のことばかりが頭の中で膨らんでしまいます。
こうなると必要性よりも「割引率」を優先した買い物をして、結局使わなかったということが起こりがちです。 - 限定ラベル
2つ目は、限定への弱さ。
「期間限定・残りわずか」の言葉は、発達障害の人が苦手とする優先順位を壊してきます。焦りで思考リソースが奪われ、吟味する前にレジへ向かってしまう。
思考停止から即決の流れになるので要注意です。 - ドーパミン報酬
厳しい言葉になりますが、
「実は私たちが欲しいのは商品そのものではなく、その瞬間の快感。」
だからこそ、荷物が届く頃には熱がすっかり冷めていて「なんで買ったんだろう?」となる「あるある」が起こるわけです。この3つの心理が同時に作動するのがセール会場です。
まずは「今、自分の脳がバイアスに支配されているかも」と気づくことが、衝動買いを防ぐスタートラインになります。
② 企業がセールを打つ3つの理由
企業がセールを仕掛ける背景には、主に三つのビジネス上の狙いがあります。
第一に在庫処分です。シーズンをまたいで商品を倉庫に寝かせておくと、保管料や機会損失が発生します。そこで「シーズン終了=値下げ開始」というわけです。
特にアパレルは流行り廃りが早いので、1年経つだけで価値が大きく落ちてしまうものもあります。
第二にキャッシュ化です。
夏物を一気に現金化することで、次の仕入れや設備投資に資金へと回せます。
取引先への支払いスケジュールがタイトなアパレル業界では、セールが資金繰りの生命線になることもあります。
第三に集客のフックになることです。
大幅値引きでお客さまを呼び込んんで、店内やECサイトで定価の新作を「ついで買い」してもらうのが定番の導線です。
「セール品見に行ったらセールと関係ないもの買っちゃった」という経験は、誰しもあると思います。
セール品に関して父から子供の時に言われて印象に残っている言葉があります。
「売れ残ってセールにかかっているものは、安くなったんじゃなくて、最初からその値段の価値しかなかったもの」
こうした事情を踏まえると、定価で売れ残った時点で、企業側は「この商品は当初の値付けほどの価値はなかった」と事実上ジャッジしていることになります。
私たち消費者も「値段が下がった=得をした」と短絡的に捉えるのではなく、「本当に欲しいアイテムなら、そもそもセールまで残っていないかもしれない」という視点を忘れないようにしたいものです。
③ セールでの衝動買いを防ぐために
セール対策の仕組みは、突き詰めて考えると2つに集約できます。
1. 「限定」の威力を自覚する
「期間限定」「最後の1点」
この類いのコピーは、私たちの「損したくない」本能にぶっ刺さります。
とりわけ発達障害のある人は、期限や希少性を示す刺激に対してドーパミンが過剰に反応しがちです。
気づけば「考える前に買っていた」という事態になりやすいものです。
だからまずは「限定」という言葉を見た瞬間に『これヤバいやつじゃん!!』と思い出すようにしてください。その他にも「最後の1点」とか「サイズ合う人しか着れないサイズ」とかも同じです。
買うための言い訳が発動したら同時に「これはヤバいやつセンサー」も発動してください。
2. セール専用の上限額を決めておく
次にやるべきは、使える金額をあらかじめハッキリ決め、その額を物理的に分けておくことです。
給料日やボーナス日に「ここまでの範囲ならセールで使ってもセーフ」なお金を別で確保します。
それを超える買い物はNGにします。
大丈夫、金額が足りなくて買い逃しても、またすぐに欲しいものが出てきます。
そういうものだということも覚えておきましょう。
④ セールを味方にする買い方
「じゃあ岩切さん、セールで買うなっていうんですか」と思っている方もいるかもしれません。
セールで買うときのコツもお伝えします。2つの視点が肝です。
1つは、前から欲しいと思っていたものがたまたま安くなっているとき。
値段が高いせいで買えなかったものが手に入る値段になっていれば、買ってもオッケーです。
私は年初のセールでcosのタンクトップを半額で手に入れましたが、去年の夏から狙っていたアイテムで、今年の夏に既に大活躍してくれています。
良くないのは、「欲しくもないものを、セールだから」と買うことです。
2つめは、汎用性があるもの。
セールにかかる商品は、夏なら半袖、冬ならダウンのようなものになることが多いです。
そうではなく、ちゃんと使えるものを買いましょう。
服なら通年で使えるパンツなどがおススメです。
値段が理由なら買うな。
これが今日の締めの言葉です。
私たちは数字=得に敏感で、買うこと自体が目的化しがちです。
でも本当に欲しいものは、セールじゃなくても買う勇気が持てるはずです。
これしかない、なんてことは基本ありません。
先ほども書きましたら、買ったらまた欲しくなります。お金と上手に付き合うためには、その都度我慢するか、散財してもびくともしないぐらい稼ぐしかないのです。
今手元に買うためのお金がないのなら、それはセールでもあなたの身の丈にあってないものなのです。絶対にリボや分割で買ってはいけません。
お金を貯めて来年の夏に買ってください。
買う理由を値段にしないことで、夏の誘惑に負けずに、楽しいじゃない良いセールの活用にして欲しいと思います!